「くゆる眠りは時のあわいへ流れてゆく」

光の中へ歩む

昨日と同じ朝ですか

 

お決まりの台詞を

鳥がなげかけるとき

樹木は一日で

いちばん大きな

深呼吸をする

 

それは 風をおこし

グラシン紙のような幸福が

地上のものをつつむ

 

たとえ そのつど

目覚めとともに

はぎ取られたとしても

眠りの上に

ひそかに降りてくる

やすらぎがある

 

そのわずかな重みに

気づき

手をさしのべるとき

 

待ちこがれた目覚めが

まぶたを揺する

 

※詩集『トットリッチ』収録作品

添付絵画:金子朋樹「光の中へ歩む」、F25号(53.0×80.3cm)、紙本彩色

撮影:松山圭介